栄光病院トップページ > 栄光通信 > 健康のためのちょっとイイお話し【サルコペニア】
11月14日は、『世界糖尿病デー』でした。
今年のテーマは『サルコペニア』です。当院でも、サルコペニアの理解を深めて頂けるよう、外来待合室に特設コーナーを設けました。
『サルコペニア』とは、加齢や疾患などにより筋肉量が減少し筋力低下や身体機能の低下がおこることです。放置しておくと、転倒や要介護、死亡に至りやすくなりますが、運動や栄養などによって健康状態に戻ることができるということが重要です。
糖尿病患者さんは、サルコペニアになりやすく、身体能力が低下して転倒しやすいことが分かっています。加齢とともに内臓脂肪が増え、筋肉が減ってくることがインスリンの働きを低下させ、糖尿病が起こりやすくなると考えられています。また高血糖が続くことで筋肉量が減り、身体能力が低下してきます。サルコペニアを防ぐには、適切な血糖コントロールが大切です。
サルコペニアの予防には筋肉を維持するレジスタンス運動(筋肉に負荷を与えて、筋肉を強くするための筋力トレーニング)を行うことが最も大切です。できれば指導者の下、運動教室やデイケアを利用するなどし、集団で行うと良いですが、1人でできるものには、スクワットや片足立ち、エルゴメーター(自転車こぎなど)、水中歩行、セラバンドを用いた体操などがあります。 レジスタンス運動を行うと、体のインスリンの働きがよくなり、血糖が改善することも明らかになっています。 食事は、腎臓病があってたんぱく制限を行っている場合を除いて、十分なエネルギーとたんぱく質をとることが大切です。過度の糖質制限などを行うと、筋肉のたんぱく質が分解され、筋肉の量が減ることになります。
栄光病院 糖尿病内分泌内科 医師 豊永 雅恵