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歯周病と認知症
歯周病は誰もが知っている病気ですが、口の中だけの問題と考えがちです。
しかし、歯周病は全身と関連していることがわかっています。
歯周病は細菌感染により引きおこされますが、中等度になると歯周ポケットの表面積は手のひらの大きさの潰瘍に匹敵すると言われ、血管を通じて体の様々な部位に二次的な病気を引き起こします。感染性心内膜炎や肺炎、低体重児出産、糖尿病とも関連が深いと言われています。
超高齢化社会のわが国では、2025年には高齢者の5人に1 人が認知症になるとの推計が出ており、認知症の約2/3はアルツハイマー型認知症と言われています。
歯を失うと認知症の発症リスクが高まるという研究や歯周病菌の一つ(ジンジバリス)がアルツハイマー病を誘発するという報告もなされています。
ジンジバリス菌は強力にタンパク質を分解するジンジパインという酵素を作ります。
ジンジパイン酵素は歯周病患者の歯肉の中で検出されますが、アルツハイマー病患者の脳の海馬という部分に病気の進展に応じて著しいジンジパイン酵素の沈着を認めたとの報告があります。ジンジパインの阻害薬は現在臨床試験が行われています。
将来的には薬でアルツハイマー病を減らすことができるかもしれませんが、現段階では歯周病の治療や予防をすることも大切と考えられています。
かとう歯科クリニック 院長 加藤 明彦