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- 2025年03月18日
- 手と目と -医療版- Vol.37 より
健康のためのちょっとイイお話【睡眠と健康】
私の特技として唯一胸を張って言えるものは、「眠る」ことです。今まで夜眠れずに困ったという記憶もなく、ベッドに入ると5分以内に眠りにつくことができます。最近、メディアで「睡眠負債」というワードをよく目にします。また、眠るための様々な寝具やグッズも紹介されており、睡眠に対する関心が高まっているようです。今回、そんな睡眠に関して、「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」の内容を一部ご紹介します。
一.睡眠の機能と健康との関係
良い睡眠は、脳・心血管、代謝、内分泌、免疫、認知機能、精神的な健康の増進・維持に重要であり、睡眠が悪化することで、これに関連した様々な疾患の発症リスクが増加し、寿命短縮リスクが高まることが報告されています。また、良い睡眠は日中の活動で生じた心身の疲労を回復する機能とともに、成長や記憶(学習)の定着・強化など環境への適応能力を向上させる機能を備えています。
二.睡眠の基本的な特徴
〈眠ることができる時間には限りがある〉
一晩に眠ることができる時間には限りがあります。身体が必要とする睡眠時間以上に眠りをとろうと床の上で長く過ごすと、眠りの質が低下することがわかっています
〈必要な睡眠時間は年齢によっても変化する〉
5歳前後では約8時間、25歳で約7時間、45歳では約6.5時間、65歳では約6時間というように睡眠時間が次第に減少します
〈必要な睡眠時間は季節によっても変化する〉
睡眠時間は季節によっても変動し、夏季に比べて冬季に10〜40分程度、睡眠時間が長くなることが示されています。
このように、睡眠は年齢によって特徴があることが分かります。「高齢者版睡眠ガイド」の内容を一部ご紹介します。
〈床上時間について〉
高齢世代では、長い床上時間が健康リスクとなるため、 睡眠時間よりも床上時間を重視しましょう。床上時間が8時間以上にならないように制限することが、睡眠の質を高めることに役立つ可能性があります。
〈昼寝〉
夜間の良眠を妨げてしまう原因になりうるため、日中の 長時間の昼寝は避けるようにしましょう。
〈日中の活動と昼夜のメリハリ〉
日中の活動時間を増やし、必要以上に寝床で過ごさないようにすることが、健康を保持・増進するために重要です。高齢世代は日中にできるだけ長く太陽の光を浴びること、習慣的に運動を行うことがお勧めです。ラジオ体操やヨガなどのイベントを活用して運動習慣をつけることも良質な睡眠の確保に役立ちます。
参考文献)健康づくりのための睡眠ガイド 2023(厚生労働省)
栄光病院 リハビリテーション課課長 平島 哲也